CADエンジニアが品質を高めるために、設計で気をつけたいのは「QCD」です。多品種少量生産の現代においてQCDを追求するには、効率のよい設計が必要となります。
多品種少量生産時代のQCD
QCDは、Quality（品質）の良い製品を、Delivery（納期）を守り、Cost（コスト）を出来るだけ安く生産する事を意味します。製品開発では、このQCDが達成出来るように生産システムを管理します。
日本の高度成長期は「少品種大量生産時代」であり、製品のライフサイクルが非常に長いため、開発→製造→改善→製造→改善…というサイクルの中でQCDが徹底的に追求されていました。改善を繰り返す事によって、安くて高品質な製品が生み出されてきたのです。
しかし時代は変わり、「多品種少量生産時代」に突入しました。開発→製造、そして新しい製品の開発→製造と、短期間で次々と新たな製品を生み出さなければなりません。もはや品質は当たり前で、スピードとコストで勝負しなければ生き残れない時代なのです。
そこで、旧来のようにQCDを追求すると、ある問題が起こります。品質を向上させようとすればコストが上がり、納期を優先すると品質が低下するという悪いサイクルに陥り、結果として大きな損失を招いてしまうのです。
設計を効率よく進めるには
CADエンジニアが、品質を高めながら効率よく設計を行うためには、どうすれば良いのでしょうか。まず、CADを"ツール"として有効に使う事が重要です。ただCADを使いこなすだけでなく、2次元CADや3次元CADを適宜使い分けなければなりません。両者の異なる特徴をうまく活かし、有効に使う事で、開発期間が大幅に短縮出来るのです。
また、製品開発における業務の流れ全体をしっかり把握する事も重要です。日々の業務の中で、製品開発がどのように流れ、関連部門とどのようなかかわりを持つのかを理解します。目先だけを見て製品開発をすると、仕様変更や構造のやり直しなど、突発的な事態に対応出来ないおそれがあるのです。設計作業における構想設計・詳細設計の役割を、明確に分けておく事も重要です。構想設計は、製品の品質やコストを決定づける重要な要素である事を、理解する必要があります。
多品種少量生産時代における製品は、QCDのほぼ9割が、設計の良し悪しで決まるといわれています。高品質なものづくりは、高いレベルの設計から生まれるといえるでしょう。CADエンジニアには、少品種大量生産時代の思考パターンから脱却し、少ロットでも確実に利益を出せる体制を作り上げる事が求められます。
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